姫路で起きた事件を題材にした物語「お夏清十郎物語」
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お夏清十郎物語は、江戸時代前期の1662年に姫路で起きた事件をもとにしたといわれています。
浄瑠璃で有名な近松門左衛門や、江戸後期に活躍した井原西鶴なども作品にしています。
今回は、お夏清十郎物語について考えていきます。
お夏清十郎物語の舞台は?
お夏清十郎の物語の舞台は、室津です。
現在は、兵庫県たつの市に所属していますが、江戸の頃は姫路藩の管轄でした。
明治維新後、藩が廃止されてからも、旧姫路県が管轄していた地域であり、文化圏としては、姫路と一緒といえます。
室津は神武天皇の時代に開かれたといわれている港町で、お夏清十郎物語の事件が起きた時代は、物流の中心地であることもあり、とても栄えていました。
また、遊郭発祥の地ともいわれており、いわゆる男性の遊び場であった側面もあります。
お夏清十郎物語とはどのような内容なのか
お夏清十郎物語は、一言でいうと悲恋ものです。
主人公のひとりであるお夏は、但馬屋という大きな宿屋の娘で、年齢は16歳です。
現代で16歳といえば、まだ結婚できる年齢ではありませんが、江戸の頃は結婚していることが珍しくありませんでした。
しかし、お夏は、自身の好みのタイプと恋に落ちたい、契りを結びたいという思いから、物語が始まった時点では、結婚はおろか、男性に興味を持っていません。
しかし、清十郎と関係を持つようになってからは、身分もすべて乗り越えてひとりの男性に捧げるような情熱的な女性として描かれています。
もうひとりの主人公の清十郎は、和泉清左衛門という商家の息子として生まれました。
絶世の美男子で、おまけに実家が大金持ちであったことや、粋な性格であったため、多くの女性から愛される男性として描かれています。
しかしその反面、彼は放蕩者であり、遊郭で湯水のようにお金を使ってしまったため、父親から勘当されてしまいます。
無一文になった清十郎は、お夏の但馬屋の手代(従業員)として働くことになりました。
そこで、お夏と恋に落ち、身分の差を理由に駆け落ちするわけですが、途中で見つかってしまい、姫路へと戻されることになります。
駆け落ち失敗の後、清十郎は、「お金を盗んだ」と冤罪をかけられ、殺されてしまいます。
清十郎の死を知ったお夏は、信じられず正気を保てなくなってしまい、物語は終わります。
お夏・清十郎の比翼塚
悲劇的な結末を迎えたお夏と清十郎の事件は、作品を通じて多くの方に広まって行きました。
2人の悲しい結末に同情した人々は、姫路市の慶雲寺にせめてあの世で一緒になれるようにと、比翼塚を築きました。
また、毎年8月9日には、慰霊祭としてお夏・清十郎祭が開催されています。
この祭りは、供養の他、浄瑠璃や紙芝居が上演されたり、パレードなども行っています。
まとめ
今回は、江戸時代にあった事件をもとに、多くの作家が描いたお夏清十郎物語を紹介しました。
姫路に縁の深いこの事件は、300年以上経った今でも、さまざまなかたちで残されています。
姫路に赴く際には、ゆかりのある場所をめぐってみるのはいかがでしょうか。
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河野 晃Akira Kouno
地元姫路の魅力をお伝えしたいと思っています。
また、法律相談についても地元の皆様にとって頼れる弁護士としてお気軽に相談して頂ける存在となれるよう、親身になって対応させて頂きます。
- 所属団体
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- 兵庫県弁護士会(資格登録番号43591)
- 経歴
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- 淳心学院高等部 卒業
- 東京都立大学 卒業
- 学習院大学法科大学院法務研究科 修了